2020年改訂後のシスコ技術者認定(CCT・CCNA・CCNP・CCIE)の概要と学習方法について

5月 21, 2020シスコ技術者認定

シスコ技術者認定が、2020年2月24日より、大幅に改定されました。

この記事では、改定後の試験制度の概要と、現状の学習方法についてまとめたいと思います。

本記事は、新試験の受験経験のない「過去のCCNPホルダー」が記載しております(しかも、会社の支援もなかったので失効させました)。

また、学習方法については、環境が整い次第内容が変化する可能性が高いです。あくまでも執筆時点の情報として、参考にしていただければ幸いです。

新シスコ技術者認定の概要

CCT(Cisco Certified Technician)

立ち位置的には、過去のCCENTに近い立場にあるのが「CCT」です。

CCTは、更に「CCT Routing & Switching」と「CCT Data Center」の2種類に分かれます。

CCT Routing & Switchingは、その名の通りルータやスイッチの知識が重視され、オンサイトサポートやメンテナンスに必要なスキルが問われます。過去の試験でもRouting & Switchingは「CCNA」や「CCNP」で馴染みがある人が多いのではないかと思います。

一方CCT Data Center」はCisco UCS(Unified Computing System)やサーバメンテナンスのスキルが重視される資格です。Cisco UCSやNX-OSの動作モードの理解が必要となります(私は経験がやや薄い分野です)。

また、両試験ともCisco TAC(Technical Assistance Center)と連携して、問題を解決する能力が求められます。

CCNA

今まで9の分野に分かれていたCCNAは、1つに統合されました(CCNA Cyber Opsのみ別枠で継続)

とはいえ、基本的には既存の「CCNA Routing and Switching」と同じです。

学習範囲の変化は「自動化とプログラマビリティ」の範囲が追加されていること。ただし、あくまで「学習範囲」の話ですので、細かな知識については、従来の試験から出題傾向が変わっている可能性も考慮した方が良いかと思います(過去の試験は使い古され、本来規約違反ですが問題も大量に流出しているので)

CCNP Enterprise

3科目から2科目に変化

まずCCNP Routing & Switching」は「CCNP Enterprise」となりました

その上で、必要な科目数は3科目から2科目に変化しています。

そして、必要な2科目の取り方は以下の通り。

CCNPの必要な科目

  • 【必須】350-401 ENCOR(旧ROUTEとSWITCHの位置づけ)
    受験料:44,800円
    試験時間:120分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:コアエンタープライズネットワークテクノロジーの実装について(デュアルスタック (IPv4 および IPv6)アーキテクチャ/仮想化/インフラストラクチャ/ネットワークアシュアランス/セキュリティ/自動化)
  • 【選択科目】300-410 ENARSI(旧TSHOOTの位置づけ)
    受験料:33,600円
    試験時間:90分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:高度なルーティング技術およびサービスの実装およびトラブルシューティング(レイヤ3/VPNサービス/インフラストラクチャセキュリテイ/インフラストラクチャサービス/インフラストラクチャの自動化)
  • 【選択科目】300-415 ENSDWI
    受験料:33,600円
    試験時間:90分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:シスコの SD-WAN ソリューションについて(SD-WAN アーキテクチャ/コントローラの展開/エッジルータの展開/ポリシー/セキュリティ/QoS/マルチキャスト/管理と運用)
  • 【選択科目】300-420 ENSLD
    受験料:33,600円
    試験時間:90分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:エンタープライズ デザインについて(高度なアドレッシングおよびルーティング ソリューション/高度なエンタープライズ キャンパス ネットワーク/WAN/セキュリティサービス/ネットワークサービス/SDA)
  • 【選択科目】300-425 ENWLSD
    受験料:33,600円
    試験時間:90分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:ワイヤレス ネットワーク デザインについて(サイト調査/有線およびワイヤレス インフラストラクチャ/モビリティ/WLAN ハイ アベイラビリティ)
  • 【選択科目】300-425 ENWLSD
    受験料:33,600円
    試験時間:90分
    試験言語:日本語・英語
    試験範囲:ワイヤレス ネットワーク デザインについて(サイト調査/有線およびワイヤレス インフラストラクチャ/モビリティ/WLAN ハイ アベイラビリティ)

受験料(2020年3月22日時点)でみると、以前よりかなり良心的になりました(以前が高すぎですが…)

「ROUTE」と「SWITCH」は「ENCOR」に変化。その出題範囲は?

先に掲載した通り、「ROUTE」と「SWITCH」は「ENCORE」になりました。従来の試験内容との差異が発生している分野は

ENCOREで増えた出題の概要

  • 無線LAN関連
  • マルチキャスト関連の問題
  • 企業ネットワークのセキュリティ
  • Cisco DNA Center
  • Cisco SD-Accessソリューション
  • Cisco SD-WAN
  • Pythonプログラミング
  • ネットワークプログラマビリティプロトコル

などがあげられます。正直、項目数でいえば倍増しているような感覚です(流石に難易度が倍増…とまでは思えませんが)。

ちなみに、シスコ技術者認定対応トレーニングを実施しているトレイノケートの公式ブログで、従来の試験との差異が、より詳細に取り上げられています。

「TSHOOT」は「ENARSI」に変化。その出題範囲は?

一方、「TSHOOT」の変化後にあたる「ENARSIについて。従来の試験内容と差異が発生している分野は

ENARSIで増えた出題の概要

  • MP-BGP
  • MPLS関連
  • VRF-Lite
  • DMVPN
  • IPv6ファーストホップセキュリティ
  • DNA Center アシュアランスのトラブルシューティング

などがあげられます。

DMVPN辺りは旧試験でも見かけた(採点対象か不明。もしかしたら、採点対象外にあたる新試験のための調査の問題というのがこれだったのかも)と思いますので、対応できる方もいるかもしれませんが、恐らく新試験ではより深く問われるのではないかと考えています。

こちらもトレイノケートの講座で、従来の試験との詳細な違いが確認できます。

中途半端な既存の資格について

ちなみに、中途半端に取得した「CCNP Routing & Switching」の資格については、以下のような扱いとなります。

中途半端なCCNP Routing & Switchingの扱い

  • ROUTEまたはSWITCHの一方のみ
    救済措置なし
  • ROUTEとSWITCH両方
    ENCORE扱い
  • TSHOOT
    ENARSI扱い

よって、「ROUTEとSWITCH両方」か「TSHOOT」に合格していた人は、比較的簡単にCCNPの取得ができます。失効前に取得するようにしましょう。

CCIE Enterprise Infrastructure

ちなみに、あまり受験者は多くないと思いますが「CCIE Routing & Switching」について。改定後は「CCIE Enterprise Infrastructureとなります。

筆記試験についてはCCNPの「350-401 ENCOR」の取得で対応できます

一方ラボ試験は、現状では2020年4月27日開始予定。それまでは「CCIE Routing & Switching」の試験が継続されます(新型コロナウイルスのための措置です。また延期になる可能性もあります)。

新しいラボ試験である「CCIE Enterprise Infrastructure v1.0」は設計が3時間、導入、運用、および最適化(5 時間)となっています。時間だけでいえば、従来の試験と同様です。

また、試験中は「製品およびサービス」のページを利用して、ログインしないレベルでシスコの関連ドキュメントを利用できます。このページについても、使いこなせるようにしておいた方がいいのではないかと思います。

その他の試験区分

先に紹介した以外にも、アソシエイトレベルであれば「DevNet Associate」や「CyberOps Associate(2020年5月29日より新試験)」、プロフェッショナルレベルであれば「DevNet Professional」やCCNPのEnterprise以外の分野があります。

過去のCCNAやCCNPと同様、その他の分野はそれほど高い需要にならないのでは?と思っていますが、自分の仕事と内容が一致するのであれば、積極的に学習してみてもいいでしょう。

新シスコ技術者認定の勉強方法

CCNAの教材

日本語で学習するのであれば、現時点で一番のおすすめはPing-tです。

過去のCCNAを学習したことがある人なら、多くの人が知っている学習サイトだと思います。私もCCNA、CCNPとお世話になりました。

まだ新試験がスタートした直後ですので「このサイトで十分合格できる!」とまでは言えません(事実、過去の試験も参考文献含めてかなり読み込まないと厳しかった印象です)。ですが、日本語でネットワークを基礎から学びつつ、CCNAに挑戦するのであれば、現時点で最適な教材と言えるでしょう。

テキストで学習したい場合、2020年5月21日時点では、シスコ公式(英語)と 翔泳社から出版されています(通称白本。6/24までは紙版はなし)。

例えば、CCNAなら以下の通りです。

すでに翔泳社の白本の提供が始まったので、近いうちにインプレスの黒本も出版されるかもしれません。

CCNP Enterpriseの教材

こちらも2020年3月22日時点では、日本語の教材が存在しません(やはり一部の会社で開いているセミナーは別ですが、個人では高額)。

結局、以下の通りシスコ公式の英語のガイドを利用することになるかと思います。英語の学習もあわせて行いたい人であれば、利用してみてもいいでしょう。

ちなみに、Ping-tの問題リリースは、CCNP ENCORは2020年中らしいですが、CCNP ENARSIは未定。英語の勉強がてら、公式テキストを使うか、数年は他の勉強をして放置しておくか、環境に合わせて戦略を選ぶといいかと思います。

個人的には、勉強はしてみたい。が…

新試験のCCNPについては、個人的には勉強してみたいとは思っています。

とはいえ、他にも勉強したい分野は山ほどあります。その上で「高額な受験料」「カンニングペーパーの出回り(新試験ではどうなるかわかりませんが)」「教材の不足した環境」を考えると、私にとってはあまり優先順位が高くないというのが現状です(趣味で取るには高額すぎる…)。

世界標準として英語での学習を推進するという姿勢(?)は立派かもしれませんが、もっと公式の教材を充実させてもらえないかなあというのが、正直な印象です。

今後の試験の様子にもアンテナを張っておきたいと思います。