CCNA Routing & Switching 合格のために実際にやった勉強方法と反省点
この記事では、主に「CCNA Routing & Switching(以降、CCNA)」に私が合格した際、実際に行った勉強方法や利用した教材、反省点について解説します。

・CCNAの学習方法について知りたい人
・CCNAの学習における注意点について知りたい人
の参考にしていただければ幸いです。
シスコ技術者認定は、2020年2月24日より改訂されました。
新試験の内容については、以下の記事を参考にしていただければと思います。
CCNA受験時のスペック
まず、私がCCNAの勉強を開始した時点のスペックは以下のとおりです。
- 7年ほど前に基本情報技術者試験に合格(ただしネットワークの問題は避けた)
- 4年ほど前まで大学でIT系を学習(だたし2年の後期に一旦IT系は諦める。学習分野ではネットワークは避けた)
- 1年ほど前に応用情報技術者試験に合格(ただしネットワークの問題は避けた)
- 半年ほど前に情報セキュリティスペシャリスト試験に合格
- その他全く関連性の無い資格を複数取得(勉強・資格試験には慣れてる)
- IT関連の業務経験無し
非常に稀な学習経歴だと思います。一度IT系を学習しながらその業界に進むのをやめた上に、戻ってきたのが避け続けたネットワークという状況です。
ネットワークを避け続けていた理由は「意味がわからないし、面白みが感じられなかったから」。実際、プログラミングや組み込み系に比べると、面白みというのがわかりにくいため、大学でもあまり人気が高くない分野かと思います(その分、努力すれば比較的ライバルの少ない分野です)。
唯一の強みは、ネットワークと相性の良いセキュリティの学習を比較的直前にやり込んだこと。ただし、Cisco製品関連の知識とは全く無縁であったことや、ネットワーク関連知識に対する苦手意識の強さから、学習はかなり初歩的な内容から開始することにしました。
CCNA受験の動機
組み込み系のプログラマとして就職したはずの私ですが、入社して最低限の新人研修を受けた5日目。
「ネットワークやってみて」
との指示を受けました。
何故私がネットワークエンジニアに選ばれたのか、正確な理由は知りませんが、偶然ネットワークの人材を求めていたこと、かなり大量の資格があったので経験のない分野でも勉強できると思われたこと、情報セキュリティスペシャリスト試験に合格していたことあたりが理由だったと思います。
そして「とりあえずCCNA取って」が、会社からの最初の課題でした。
結果的に
- 受験費用は会社が支援してくれる(合格すれば)
- 資格試験に対する熱意は平均よりは上(当時はやや冷めてましたが)
- 体系的に業務の知識をつけるには良い機会
という理由から、とくに会社の指示を断る必要もなかったので、CCNAの勉強を開始しました。
CCNA合格のために実際に使った教材
CCNA合格のために私が実際に使った教材は以下のとおりです。
0~7日目:1週間でCCNAの基礎が学べる本
このテキストを利用した理由は大まかに以下の通り。
- 1週間だけ学習に専念できる猶予を与えられたから(タイトルの期間と自分の状況が一致した)
- 初歩から学習したかったから
- ネットワークに対する強い苦手意識
通常であれば「テキストは可能な限り使わず、最初から問題集で学習する」というのが私の学習方法でしたが、ネットワークの苦手意識が強かったことや、会社からの最初の指示ということもあり、慎重になっていたことから、このテキストを利用しました。
結論からいえば、自分にとってはあまり必要の無いテキストでした。
確かに学ぶべきところも多かったのですが、内容は「ああ、なんとなく知ってた」ということが多かったため、もっと専門的な参考書に最初から手を出すべきだったと反省しています。大学や資格試験などで、ちょっとでもネットワークに触れたことがある人であれば、あえて購入する必要性は低かったと思います。
7日~試験直前:黒本(テキスト)
有名なCCNAの参考書である「黒本」と呼ばれるテキストを購入しました。
購入した理由は、テキストの中で一番人気が高いとの噂だったから。同様に有名な白本と呼ばれる参考書と読み比べようかとも思いましたが、正直立ち読みだけで適切な比較ができる自信がなかったため、人気を信じてあとは迷わず学習することにしました。
こちらも普段の資格試験であれば、最初から問題集を購入していたところでしたが、やはり苦手意識の影響で「とりあえずテキストから」という流れで学習しました。
ちなみに、当時の私はスマートフォンを持っていなかったこともあり、電子書籍での学習はできませんでした。1冊800ページ以上あるため、背表紙から切り開いて、4分割位にした上で、セロハンテープでちぎれないように強化して持ち運んでいました。
内容としては、試験合格には必要な内容が網羅されている印象です。振り返ってみると、この黒本をテキストに使い、Ping-tで問題演習を行えば、それだけで合格は可能という手ごたえです。
約14日~1か月目:3分間ネットワーキング
黒本と並行して、職場で学習する際に利用しました。
利用した理由は「比較的最近CCNAを取得した先輩から、初心者にも分かりやすいという理由ですすめられた」から。
通常の業務もあるため、仕事中に学習できた時間はかなり限られていましたが、比較的暇な時間(正確に言えば、新人には対応できない仕事が舞い込み、先輩も教える余裕の無い、本当は忙しい時間)に利用していました。
利点と言えば、非常にわかりやすく、1項目が比較的短いため、スキマ時間でサクサク学習できるところ。欠点と言えば、CCNA合格の水準としては、このサイトだけでは細部を網羅しきれてはいないところ。
入門的に全体を浅く広く学習したい人にはあっていると思いますが、1つの教材で最初から最後まで通したいというタイプの人にはあまり向いていないかと思います。
約1か月目~試験直前:CCNAイージス(ネットワークエンジニアとして)
先に先輩から進められた影響で「3分間ネットワーキング」と「黒本」の水準に乖離を感じたため、より詳細な解説が行われている「CCNAイージス(ネットワークエンジニアとして)」を仕事の空き時間で利用し、学習するようになりました。
こちらのサイトは非常に細かい知識まで網羅されています。コマンドの例などは、CCNAの出題されるレベルを超えているのでは? と思えることもありますが、年々難易度が高まっているという話もありますので、確実な合格を目指すなら、ちょっと難しい知識まで抑えておいた方が安心だと思いました。
約1か月目~試験直前:Ping-t
こちらのサイトは、わかりやすくいえば「Webの問題集」です。
有料のサイトではありますが(一部無料)、非常に多くの問題が収録されており、またコマンドを入力するタイプの問題も学習できるという利点があります。
また、長期で利用すれば、1か月あたりのコストを抑えられるのも利点でした。私は「CCNA合格後はCCNPまで1年以内にとる」という最低限の目標があったので、1年契約で利用を開始しました。
この問題集を完全にやり込めば合格できる可能性は高いと思いますが「問題に見慣れてしまい、良く理解できていなくても問題が解けてしまう」という状況に陥ってしまう可能性もあるので、その点は要注意です。
CCNAは80%の正解率では不合格になる可能性が高いと私は考えています(だいたい80%より上が合格点になると思うので、実際の試験で90%は狙いたい)。一度不合格になると、4万円程度(私の受験当時はもう少し安かったです)捨てることになります。
合格を急ぐ必要がないのであれば、Pint-tで全ての問題を金のBOXに入れられるレベルになった上で、更に別の問題集に目を通しても余裕で90%以上正解できるという状況になるまで、受験は避けておいた方が無難です。
CCNA合格までの学習の流れ
学習の流れを大まかにまとめます。
- 「1週間でCCNAの基礎が学べる本」で、基礎知識を吸収
- 黒本で全体の知識を吸収。職場の空き時間は「3分間ネットワーキング」を利用
- 「3分間ネットワーキング」を「CCNAイージス」に置き換え
- 学習1か月経過前後から、Ping-tで問題演習を開始
- 直前時期は「黒本」と「Ping-t」に集中
実際の学習の流れは、上記のとおりですが、振り返ってみると以下の流れが最適だったと思います。
- 初期段階からCCNAイージスで知識を吸収
- 並行して、初期段階から「Ping-t」で問題演習
- 「Ping-t」で全ての問題を攻略したら、別の問題集を購入して、問題内容に変化があっても9割取れるか確認(問題集は黒本か赤本を利用)
- 「Ping-t」と「後から購入した問題集」で、両方9割以上で安定(できれば95%以上)したら、受験する
もちろん、これは私の場合の「試験に合格することを目指すなら最適」と思える学習方法ですので「勉強にどの程度慣れているか?」「事前知識がどの程度あるか?」によっては十分変化する内容だと思います。
ただ、最終的には「Ping-t」と「別の参考書」で90%以上(できれば95%)の正解率まで学習をやりこむのは、やっておいた方が無難だと私は思います。繰り返しになりますが、受験料4万円のロスはかなり大きいです。もちろん、CCNA取得によってそれ以上の金銭的メリットが発生する可能性はありますが(わたしはありませんでしたが)、あえて短期間で取得することにはこだわらず、万全になってから受験はするようにしましょう。
CCNA合格までの勉強時間・勉強期間
CCNA合格までの勉強期間は、おおよそ2.5か月でした。
2月中に1週間学習を行い、5月頭のGWでラストスパートをかけて受験しました。そのため、シフト勤務の開始前最後となった連休は、ほぼ全て勉強に消えてしまい、その後1年程度は3連休すら遭遇することがありませんでした(平成~令和のGWで、久しぶりに7連休までとれました)。
勉強時間は測定していませんでしたが、実のところあまり集中して勉強していなかった(社会人生活に慣れていなかったのが敗因)ため、せいぜい平均は1日2時間弱の勉強時間といったところでした。
おおまかな記録から、勉強時間の合計値は100~150時間程度となりました。
CCNAの学習における反省点
CCNAの試験には、無事合格できました。
その後、1年以内にCCNPの試験にも無事合格し(ROUTEで1度、久しぶりに試験不合格を味わいましたが)、ネットワークエンジニアとしては、悪くないスタートを切れたと思います。
CCNAの勉強における反省点をあげるとすれば、以下のとおりです。
- 試験合格を優先してしまったため、業務と知識がなかなか結びつかなかった
- 問題集を購入せず、Ping-tのみで問題演習を行っていたため、合格点が結構危なかった
- 勉強に対する集中力が足りていなかった(正社員になったら、フリーター時代より勉強量を減らそうと当時考えていた影響)
とくに「業務と知識がなかなか結びつかなかった」のは痛いところです。
実機に触れた経験がほぼゼロ(リモートでの操作含む)の状態で、知識を無理矢理詰め込み、反射的に解答できる状態にもっていったため、実際の業務で「これ、CCNAの範囲だよね?」といわれても「そういえば何となく…」とういことが多発してしまいました。
ただ、資格試験だけでは業務で即活かせる能力を身につけるのは難しいのが当たり前です。結果的には、資格試験を通して知識を学んでいたおかげで、よりスムーズに業務の知識は吸収できていたと思います。そういった意味では、やはりCCNAに合格しておいたことは、無駄ではなかったと思います。
現在、私はネットワークスペシャリスト試験の学習中となります。ネットワークスペシャリスト試験では、業務と直接は関係のない分野からの出題も多く「なかなか業務に活かしにくい」という事態は予想されますが、キャリアアップしていく過程で学んだことを活かせるように、体系的な知識を基礎から身につけていきたいと思います。