【体験記】美術検定3級に合格した際の勉強時間・勉強方法・教材について
2022年11月12日、美術検定3級を受験し、無事合格しました。
84点と高得点の結果となりましたが、正直自身があった問題は6割程度。後述しますが、私と同じ勉強方法では8割越えは運が必要です。
この記事では、以下の内容を中心にまとめます。
- 美術検定3級合格までの勉強時間
- 美術検定3級で使った参考書と勉強方法
- 実際に美術検定3級を受験した感想
美術検定3級、合格体験記のまとめ
- 出題範囲は広め。難易度は入門資格としては高い(中学以降で美術を学んでない大人には、FP3級や漢検2級より難しいと思う。30時間以上は確保した方が良い)
- 高校3年までの授業だけでは、知らない芸術家の方が出題数多め。
- 『美の巨人たち』を数年見ていた人なら、見た事ある絵画は多かった(作品名や作者名は忘れてたけど……)。
- 過去問流用は無かったと思う(若干、類似問題はあったと思うけど、問題集のみの対策だと落ちる可能性あり)。
- 歴史・仏教の知識が、5/90問程度の正解につながった。
- 美術館巡りで、知ってる作家や芸術運動は増えた(偶然、勉強期間中で旅行したのでありがたかった)。
受験前のスペック
簡単に受験前のスペックをまとめると、以下の通りです。
- 高校で3年生まで美術を選択してた
- 大学卒業後、『美の巨人たち』を数年見てた
- 直近4年くらいは『美の巨人たち』を見ず、美術館も巡らず、ほぼ美術から離れていた
- 仏教・世界遺産など、文化・歴史系の勉強を2021年から行っている
- 美術検定サンプルテストでは、9割正解できた
- 美術検定4級は、勉強なしで合格
- 仏教・世界遺産(の建築様式)・日本史の勉強を直近1年でしている分は有利
- 「美術のキホン」の分野については、色彩検定のおかげで有利(でも、ほぼ出題が無かったような……)
- 美術館は、年に1~2回くらい訪れる(内容は版画が多い)
一言でまとめると「中学で美術が終わった30代よりは有利。でも、趣味で勉強してる人よりはだいぶ不利」といったところ。
また、仏教関係の資格の勉強や、世界遺産検定2級の受験による建築様式の知識、歴史能力検定の学習による日本の江戸時代頃までの芸術知識、色彩検定による色に関する知識のおかげで、若干ながら有利な状況ではありました(たぶん、5問前後これで正解してる)。
一番有効だったのは昔見ていた『美の巨人たち』という番組。4年程前から見なくなっていましたが、学習段階で「あ、これ見たことある!」という絵画が多かったのは、記憶が定着しやすく助かりました(作品名と作者名は忘れてましたが……)。
美術検定3級合格までの勉強時間は、17時間00分(美術館巡り含めると、25時間くらい)
勉強時間は17時間00分になりました。
正直、平行してやっている脚本の勉強などが忙しかった時期でもあり、当初の予定程に勉強時間を確保できませんでした(元は30時間確保して、余裕があったら減らす予定でした)。
結果的には合格できたものの、日本史・仏教・建築様式など、他の試験の知識や、昔見た美術番組の知識、そして運がなければ流石に84点はとれなかったと思います。
また、日頃から美術館巡りをしている方や、美術関連の番組などを楽しんでいる方は別ですが、ちょっとした興味で受験する場合、そもそも17時間での挑戦では合格が危ういと思います(そんな人、受験しない気がしますが)。今回、84点とけっこう高得点ですが、自信をもって解答できたのは正直6割程度です。
ちなみに、美術検定の勉強期間中に、いくつも美術館を巡る機会がありましたが、その時間は含めておりません(含めると、25時間くらい?)。時間の使い方としては、主に問題集で学習し、テキストは「ポイントでわかる」の部分を活用しました。
美術検定3級で実際に利用した教材
実際に美術検定3級で利用した教材は、以下の通りです。
知る、わかる、みえる 美術検定3級問題[基本編 basic]
美術検定3級の公式問題集です。
実際に過去に出題されたものや、同じようなレベルの問題が317問収録されています。
1問ごとに解説が用意されており、基本的にはこの問題集で全問正解できるレベルにしつつ、解説もしっかり暗記すれば合格ラインの7割前後安定して目指せると思います。ただ、問題集だけだと足りない知識があり、また問題集を解説も含めて完全に暗記することは困難なので、テキストもあった方が確実です。
また、残念だったのが出題される問題の画像。白黒でサイズが小さいため、実際の問題よりも判別が難しい状態でした(正解はできるレベルです)。
改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト
美術検定1~3級に使える公式テキストです。
非常に残念なことに、1級、2級、3級の範囲がわからない構成でした。ですので、正直どのページから出題されてきても全くおかしくなく、極端なことを言えば全て読み込んで覚えるのが確実な合格につながるのですが、それでは時間がかかりすぎます。
そこで3級の勉強では「ポイントでわかる」の部分だけに集中して学習しました(「みてわかる」と「読んでわかる」と「もっと詳しく知りたい」は全部捨てました)。というのも、この部分が最も用語の解説が端的にまとまっており、暗記もしやすかったからです
また、合格基準である60%を確実に超えればいいと考えると、無理して範囲を広げる必要性は低いかと思います。
とはいえ、実際には「みてわかる」や「読んでわかる」からも多数出題されていたような印象でした。正直、3級専用に分けた構成でテキストを用意してもらえればもっと勉強しやすいのに……とは感じます。
「西洋美術関係の人物と作品」と「日本の美術関係の人物と作品」の一覧
ネット情報のまとめですが、受験後に美術検定3級で勉強した内容を、人物を中心に一覧にまとめてみました。
赤シートなどを活用して、暗記用や実力診断用として活用できるようになっています。
ただし、人物を中心にまとめた一覧表なので「芸術運動」や「様式」そのものを問う問題には弱く、この一覧だけで勉強すると不合格の可能性高いかと思います(テキストか、ネットの調査で補強が必要)。あくまでも補助教材として活用することをおすすめします。
美術検定3級の勉強方法
①問題集を繰り返し解きながら、必要に応じて調べる
最初は、問題集を繰り返し解くことに専念しました。
というのも、以下のような理由によるものです。
- 美術検定3級の難易度、実際に体感しておく
- 実際に出題されるレベルの問題の方が、テキストよりも出題傾向に則している
- そもそもテキストが3級用にまとまっていない
しかし、欠点として「問題集から解くと、突然知らない用語が解説無しで出てくる」という欠点があります。
そこは仕方がないので、テキストなりネットなりで調べつつ、問題集を進めるようにしました。
調べものについては、2周目以降はかなり減らすことが可能なので、ペースも早くなっていきます。
私の場合、問題集は4周程取り組んだ時点で、正解率は9割程度。解説もおおむね重要そうな用語は把握できる状態になりました。
「美術のキホン・つくる+みる」と「知識・情報の活用問題」について
問題集の後ろの方に、「美術のキホン・つくる+みる」という色彩や道具などが問われる問題と、「知識・情報の活用問題」という芸術鑑賞の能力が問われる問題があります。
私の受験についていえば、「どちらも一読のみで充分」でした。
「美術のキホン・つくる+みる」については、色彩検定3級で昔勉強したこともあり、覚える要素が少なかったこともありますが、そもそも私の受験では出題された覚えがありません(もしかして、最近範囲から外れた?)。
また「知識・情報の活用問題」という芸術鑑賞の能力を問う問題について、一度どんな形式で出題されるかを把握すれば十分です。繰り返し問題を解いたところで、正解率が伸びる内容ではありません。本番の出題数も5問と少なかったですし、私は一読のみで全問正解できました。
②テキストのQ&Aでピックアップされている内容で、知らない知識を読み込む
問題集を8~9割正解できるようなった時点で、おおむね3級レベルの美術の知識は把握できているかと思います。
そこで、問題集だけでは足りない、出題率の高そうな知識を得るために、今度はテキストに切り替えます。
読み込むのは「ポイントでわかる」となっている部分のQ&Aのタイトルで、知らない内容が解説されている部分です。
例えば「デ・ステイルって何?」というタイトルを見つけて、「デ・ステイルって具体的に知らないなあ」と思ったら、その内容は読みます。
ただし、表になっている部分は読み込みません。なぜかといえば、作品名と作者名といった対応表などは、簡単には頭に入ってこないからです。この部分も含めて全部読み込んでしまうと、余計な勉強時間がかかって集中力も下がり、全体の学習効率が下がると判断しました。
ただし、表であっても掲載されている絵画だけはチラッと見て、名前を聞いたことのある作者だったら、それについては確認するようにしました(わざわざ絵画を掲載するということは、出題率が高いと考えられるため)。
「ポイントでわかる」だけで、正解率8割に達するか?
今回、テキストの「ポイントでわかる」の範囲を中心に学習する手法を使いましたが、正直この方法だけでは、8割の正解率を超えるの運が必要です(別途、趣味で学習していれば別ですが)。
実際、私が受験した際の問題で覚えている範囲をテキストと照合したところ、何問も「みてわかる」「読んでわかる」からの出題がありました。
とはいえ、やはり300ページ近く、文字数も多いテキストを読み込み、全ての画家と作品を暗記するのは至難の業です(テキストを改善して欲しい)。そういう意味では、学習範囲を広げるにしても「みてわかる」で印象に残った絵画を覚えるのが3級レベルでは精一杯ではないかと思います(2級狙いで多めに学習するなら、「読んでわかる」に挑んでもOKです)。
③問題集とテキストを繰り返す
テキストを一通り読み終わったら、あとは問題集とテキストを交互に勉強しました。
といっても、自分の場合はテキストを読み始めたのが試験直前だったため、何度も繰り返すことなく、受験となりました。
実際の美術検定3級と試験結果
実際の受験は、オンラインで可能でした。
また、受験可能な時間が11/12 10:00 ~ 11/13 18:00と長く、日程に合わせて柔軟に変更できたのがありがたかったです。
試験時間は60分。正直、最後の方の芸術鑑賞(知識・情報の活用問題)以外は、「知っているか・知らないか」で、即答していくような感じだったので、試験時間が足りないということはほぼないのではないかと思います(むしろ、試験時間は30~45分程度でいいのでは? と思いました)。
結果は84点で合格。
しかし、正直言って自信があったのは6割程度。残りは選択肢を絞り込めるか、下手すると全く絞り込めないレベルでした。
ほぼ勉強しなかった「知識・情報の活用問題」については全問正解。不正解は西洋美術と日本の美術で半々程度でした(日本の美術の方が正解率低め)。
私が受験した際の出題範囲について
詳細な出題内容を公表することはできません。
出題割合については、メモをしていなかったため明確には言えませんが、大体以下のような配分でした。
- 西洋美術:50問程度
- 日本の美術:35問程度
- 美術のキホン・つくる+みる:0問?
- 知識・情報の活用問題:5問程度
正直、色彩や道具などを問う「美術のキホン・つくる+みる」からは、出題されたように思えません。結果的に、勉強不要だったという感じです。
また、「知識・情報の活用問題」は5問出題され、私は問題集を1度読んだ程度ですが全問正解できました。勉強して点が伸びるような分野でもない為、あまり意識しなくていいかと思います。
そもそも「美術検定」とは
美術検定については、受験にあたり想定の難易度・勉強時間・試験の概要について以下の記事にまとめました。興味がある方の参考にしていただければ幸いです。
また、以前に受験した4級の合格体験記もまとめました。まずは4級から受験しようと思う方の参考にしていただければ幸いです。