【試験に向けた計画方法】資格50種を取得して、資格試験と勉強について勝手に思うこと
前回は、資格50種を取得する中で、私が感じた「資格試験の心得」や「よくやる失敗パターン」をまとめました。
今回の記事では、より具体的に「私がどのように資格試験に向けて計画を立てているか?」について解説したいと思います。
資格試験に慣れていない方の参考にしていただければ幸いです。
資格試験に挑む前にやっておきたいこと
最初に、試験に挑む前には「自分が本当にやりたいことは何か?」を確認することをおすすめします。
これは忙しく過ごしていると見落としがちですが「自分が本当にやりたいことは何か?」を日頃から考えて、そこに向かって前進するための方法を定期的に見直しましょう。
自分が本当にやりたいことが趣味であり、仕事はあくまで生きるための手段であれば、資格試験など見向きもせず、趣味に集中した方が良いということも十分あり得ます。
よくいわれる「スマホのゲームなんてしてる暇があるなら……」といわれても「スマホのゲームが俺の生きる意味です!」と思うのであれば「スマホのゲームを最大限楽しむには、どういった人生にするべきか?」を真剣に考えるべきです。
一方で「本当にやりたいのは趣味だけど、そのために早期リタイアをしたいから、今は収入を上げたい。そのためには仕事を優先しなくては…」と思うのであれば、人生の軸は趣味であっても、一時的に仕事を優先することもアリです。もちろんその場合は「本当に今の手段が最善か?」を定期的に見直す必要があります。もし「趣味と仕事が一致して、仕事から十分な収入が得られる」道があるのなら、より充実した人生になるでしょう。
昇進したり、転勤したり、転職したり、結婚したり、子供が生まれたり……と、様々なライフイベントによっても「今優先したいこと」が変わると思います。「ブレないつもりだった軸」も動くことがあると思います。そういったとき「自分の本当にやりたいことは何か?」をしっかりと考え、その目標を達成するために必要なことを優先するようにしましょう。

資格試験を申し込む前に使う3つの判断方法
ここからは、資格試験を受験する前に私が使う判断方法をまとめます。
①ステップアップか? 難関から攻めるか?
まず「簡単なものから徐々にステップアップしていくか?それとも一気に難関に挑むか?」という分かれ道について。
基本的には「簡単なものから徐々にステップアップしていく」方をおすすめします。
- 勉強の習慣がない場合、勉強の習慣が身につく
- 効率的な学習方法を身に着けることにもつながる
- 試験慣れすることにもつながる
- 基礎からゆっくり知識を身に着けられる
- 不合格を繰り返して自信を消失する確率が低い
ただし、以下のようなメリットに該当する場合は、難関試験から挑む方に軍配が上がります。
- どうしてもその資格を今すぐ取得する必要がある
- 難関試験は、明確に実感できるレベルでモチベーションが上がる
- ステップアップになる資格が他にない
とくに重要なものが「受験の機会」です。
国家試験だと「試験は年に1回。就職活動に間に合わせるなら、途中を飛ばして3カ月後の難関試験を受けるしかない」といったパターンがよくあります。ただ、この場合は当然不合格のリスクが伴いますので、不合格の場合も含めて計画を立てておく必要があるでしょう。

難関試験は、自分でも合格できると考える
「難関試験=合格できるのは大学で専門的に学んだ人・ベテランの社会人」と考えるべきではありません。
試験で最も重要なことは「必要なだけの勉強量を必要なだけこなしたか?」です。
ですので、まずは「難関試験は、自分でも合格できる」と考えて、試験を選びます。
私の場合は、
- 法律初心者から行政書士
- 化学初心者から環境計量士(濃度)
- IT業界に入る前に、応用情報技術者と情報セキュリティスペシャリスト
に合格しました。
この時、心底思ったことは

ということ。フリーターとはいえ週35時間以上は働きながら、1年でこれらの試験(ついでに他に6種)に合格できたので「この事実を学生時代に知っていれば人生違っていたな」と思いました(私が特別な勉強方法を知っていたり、特別な頭の持ち主というわけではありません)。
ただし「誰だって難関試験に合格できる。だから難関試験から始める」というのは、誰にでもおすすめできる方法ではありません。少なくとも「不合格を覚悟できること」「難関試験に挑むことで大きくモチベーションの向上が見込めること」が最低条件だと思います。
また、先にも記載しましたが「不合格を繰り返す」ことでモチベーションが下がるリスクもありますので、精神衛生には注意が必要です。

②短期か?長期か?
短期間で試験に挑むことによるメリットとデメリットは以下の通りです。
- 学習したことを忘れ難い
- モチベーションを維持しやすい
- 直前から受験を決意できる(申込が間に合えば)
- 突発的なスケジュール変更に大きく影響を受ける
- 試験と自分の実力差を読み間違えると修正困難
一方、長期間で試験に挑むことによるメリットとデメリットは以下の通りです。
- 突発的なスケジュール変更に影響されにくい
- 実力不足なら勉強量を途中から上げることもできる
- そもそも試験日まで余裕が無いと無理
- モチベーションが維持しにくい
- 初期の勉強を忘れやすい
短期と長期でメリット・デメリットがほぼ逆になる感じです。
どちらが良いというより、自分の都合と学習スタイル次第で、短期・長期を選択するといいと考えています。
ちなみに、私の場合は「短期決戦気味にしておきながら、若干の余分な時間を設けて、その分だけ期間を延ばす」という方法を心がけています(失敗も多いですが…)。これで、急な休日出勤、シフトの調整などにもある程度対応しています。
③短時間か?長時間か?
短時間で合格を目指すか、長時間で合格を目指すか。どちらが良いかは正直「人による」と思います。
半分趣味として勉強している関係上、資格試験の勉強方法の本を複数持っていますが、書籍によって解答が一致しません。
ある意味当然ですが、「私はこの方法で成功した」という本の場合、著者の経験や癖に左右されます。失敗も成功も人それぞれなので、こういった方法論は、勉強に限らず表面上の解答は一致しないことが多いです。
ただ、その本質を考えると以下のようになります。
- 長時間はモチベーションが続かない。短時間はモチベーションを保ちやすい
- 短時間は不合格によるモチベーションの低下がありあえる。長時間は合格しやすくモチベーションを上げやすい
- 勉強時間だけでなく、勉強の質(集中力)も大切である
要するに、どちらもメリット・デメリットになりえますし、そもそも時間はあまり重要ではないという印象です。自分の過去の経験、今の立場から選択するといいでしょう。
ただし、普段から仕事などで忙しい人、突発的なスケジュール変更がありえる人は、その分だけ保険としての勉強時間を設けることをオススメします。

私の具体的な資格勉強の計画方法(8段階で考える)
ここから、私の場合の具体的な資格勉強の計画方法を具体的にまとめます。
Step1:そもそも「人生の目標」の為に、何をすべきか考える
資格試験に合格することは、人生で必須ではありません。
資格試験には一定の時間が取られます。難関試験ほど取られる時間は多くなります。なので、本当にその勉強時間を消費するだけの価値があるのか、一度改めて考えます。
今の生き方がとても幸せで、将来の心配も全くないのであれば、資格試験は不要だと思います。
既に社会である程度成功しているなら、資格試験よりも目の前の課題をこなして実績を上げる方が効果的なことも多いはずです。
また「勉強するべきだ!」と思っても、「果たして何を勉強するべきか?」を誤ると、効果もモチベーションも大きく下がります。
資格試験の業界で私が尊敬している左門さん(ネスペでは大変お世話になりましたm(_ _)m)も、昔中小企業診断士に6度も挑戦し、敗れ、そして本当に自分が勉強するべきことを見出したというエピソードがあります(詳しくは「資格は力」を参照)。
ですので「人生の貴重な時間の中で、本当にその資格を受験する価値があるのか?」を、一度は自問自答して、価値がありそうだと思えたら受験するようにします。

Step2:試験について、受験すべきかを大雑把につかむ
「Step1」にも関連することですが「その試験が自分の目的に本当に合致するか?」を調べます。
この時点で調べることは、主に以下の3点です。
- 自分の達成したい目標と方向が同じか?
- その資格は本当に評価される資格か?
- 受験資格を満たしているか?
- 試験の形式はどういう形式か?(大雑把に)
自分の学習したいことと内容が食い違っていれば受験を断念します。受験資格を満たしていない場合も同様です。また、資格の評価が低い場合は、他にもっと良い資格がないか調査します。
試験の形式については、後で勉強時間の計算の際に利用することがあります。ただ「難易度が低い」「情報が多い」試験の場合、無視することも多いです。
Step3:試験の日程を調べる
興味を持った試験の日程については、ネットで調べれば直ぐに見つかると思います。
一番気になるのは直近の試験日ですが、現実的に試験勉強が間に合わない可能性もあるため、できれば毎年の試験日のスケジュールを把握しておきます(例えば「毎年4、10月の第三日曜に開催」など)。
Step4:試験までの日数から、現実的な勉強時間を調べる
次に、試験日までの日数から、現実的な勉強時間を調べます。あとで微調整ができるよう、少し余裕を持たせて計算するといいでしょう。
私の場合は、2019年6月~2021年6月にかけては、1日3時間を目安に計算していました。この時間は、頑張ればあと1日30分は追加できるラインです。
注意するケースは「ほとんどの勉強時間が隙間時間の人」が長文読解や記述式試験を受験する場合です。こういった試験は、「まとまった勉強時間」が必要であるため、「まとまった時間が必要なだけ取れるか?」を計算しておく必要があります。
Step5:試験合格に必要な時間を見積もる
試験合格に必要な時間については、主にネットで調査します。
多くの「社会的に需要がある試験」の場合は、合格を目指すための勉強時間がある程度ネット上にあるので、それを参考にします。
とはいえ、私のブログのように、個人のブログの情報は基本的に被験者1名なので、不安があります。とくに「合格したから記事にしよう!」と思う人はいても「不合格になったから記事にしよう!」という人は少ないです。周囲よりも極端に多い勉強時間で合格した場合も、あえて記事にしないでしょう。つまり、個人のブログは「被験者1名で、生存者バイアスがかかっている」と思った方が良いです。
そんなわけで、私のブログも含めて、個人のブログ1つだけを頼るのは、できるだけ避けましょう。
オススメの調査方法は、個人のブログを複数読むこと。その上で、それぞれの前提条件(業務経験や過去の学習など)も加味して、適正な勉強時間を見積もっていきましょう。
また、運よく多くの受験者からアンケートを取っている情報がある場合(参考書の冒頭に書かれているがあります)、それを利用するとかなり高い精度で時間の見積もりが可能です。
ちなみに、複数人で運営しているようなメディアや資格の予備校のデータの場合は、以下のような特徴があると思っています。
- 組織的なメディアの場合、信頼性は個人より高いが、稀に「この記事、絶対に受験してない人が書いてるよな…」というものがある
- 予備校のデータは、確実な合格を目指す為か、若干長めの事がある(アンケートの場合は別)
それぞれの情報源の特徴も考慮して、長すぎず短すぎない程度で見積もるといいでしょう。

Step6:実際に受験するか、いつ受験するか、最終的な判断をする
ここまでで「試験までの勉強時間 > 試験合格に必要な時間」となっていれば、文句なく受験できます。
問題は「試験までの勉強時間 < 試験合格に必要な時間」となっている状態。
この場合は足りない勉強時間にも応じて、私の場合は以下のように対処します。
- 圧倒的に足りない → 今回の受験は見送って、次回の試験までにステップアップの資格を取得
- 若干足りない → とりあえず受験する
勉強時間が若干足りなくても受験に申し込む理由は「合格ならラッキーだし、不合格でも次回につながるから」です。
ただ、これも「不合格でもモチベーションがほぼ下がらない」という自分の特徴を把握した上での判断です。なので、「不合格だとモチベーションが下がる」「合格できない可能性が高いと、モチベーションが上がらない」という人は、受験を見送るのもアリだと思います。
Step7:受験する場合、大雑把な学習計画を立てる
もう一度個人のブログや予備校の記事などを読み、大雑把な学習計画を立てます。
ネット上の情報で足りない場合は、参考書も利用します。参考書の冒頭に「おすすめの勉強方法」が掲載されていることも少なくないからです。
ただし、この際に立てる学習計画は、大雑把でOKです。理由としては
- 絶対的な勉強方法は存在しない
- 個人の経歴に応じた詳細な学習スケジュールを、学習開始前に立てることは困難
- 簡単な試験は問題集(過去問)を使ったゴリ押しで十分(とくに4択のみの試験)
- 見つけた情報が正しいとも限らない(実際、参考書の方法を鵜呑みにせず、半分で合格した試験もあります)
- 学習時間が正しく見積もれているなら、実践しながらある程度は修正可能
とくに重要なところは「学習時間が正しく見積もれているなら、実践しながらある程度は修正可能」というところ。
例えば、試験に学科と実技があったとして、合計100時間の勉強が必要とします。この時「学科の方が時間がかかる」という情報があれば、勉強時間の配分を「6:4」で計画しても「8:2」で計画しても、合格に十分な実力が付いた時点で軸をもう一方に移せば、計画の修正は可能です。
ただし、修正の際にはある程度時間のロスが発生するもの。そのロスを減らすためにもネットや参考書などの情報を駆使して「大雑把に」学習の計画自体は立てておく必要があります。

Step8:実際の勉強から、学習計画を微調整する
学習の計画を立てたら、あとは学習と調整の繰り返しです。
勉強を進めていくと「想定と進捗が違う」ということも多いと思います。例えば「過去問1回に2時間で見積もっていたら、実際には2.5時間かった」とか「10時間で読み終わる予定だった参考書が、8時間で終わった」といった具合です。
こういった新しく分かった状況に応じて、学習計画を微調整していきます。
調整は「時間を増やす・減らす」「勉強の順番を変える」「学習方法を変える」などが中心になると思います。
また、この段階から「根本的に勉強時間が足りない」ことが判明することもあるため、「Step3」で残しておいた余裕を投入するという判断になることもあります。
いずれにしても、「自分の学習は計画通りに進んでいて、合格に必要なだけの能力が身についているか?」については、可能な限り客観的な判断で、日頃から確認できるようにしておきましょう。