AWSソリューションアーキテクト アソシエイト 合格に利用したおすすめの教材・参考書と使い方
この記事では、主にAWSソリューションアーキテクト アソシエイトの合格経験から、おすすめの教材・参考書を解説します。
AWSソリューションアーキテクト アソシエイト (SAA-C01) が受験できるのは 2020 年7月1日までです。本記事はSAA-C01での内容で執筆していますので、試験の範囲・詳細などは改定前後で大幅に変更される可能性があります。
【前提】AWSソリューションアーキテクト アソシエイト試験の対策の流れ
おすすめの教材・参考書を解説する前に、軽く試験対策の流れを解説します。
AWSソリューションアーキテクト アソシエイトは、問題演習だけで合格を目指すのは、初心者にとって非効率な試験です。
というのも以下のような試験の特徴があるからです。
- AWS特有の用語を多く覚える必要がある
- それぞれのサービスの比較ができる必要がある
こういった課題を初心者が効率的に解決するためには、体系的な知識を最初に身に着けておいた方が近道です(完璧は目指さない程度にしてください)。
また「過去問演習を繰り返せば、そっくりな問題が出題されて合格できる」といったタイプの試験でもありません。ですので、問題演習の丸暗記では、本番の試験で正しく正解を判断できません。
こういった試験の特徴から、対策の際はザックリ以下の2点に注意する必要があります。
- 最初は全体を浅く広く理解する必要がある(AWS特有の用語を判断できるようになるため)
- 問題演習を通して「ベストプラクティス」を判断できる必要がある(問題集の繰り返しが重要)
これらの注意点を考慮すると、初心者は「試験の頻出用語の理解を優先し、ある程度知識が整ったら問題演習を繰り返し、不明点を再度調査する」という流れで学習するといいでしょう。
詳細な学習方法については、下の記事でまとめていますので、気になる方は参考にしていただければ幸いです。
実際に利用した教材・参考書
ここからは、実際に利用した教材と参考書について解説します。
【序盤用】この1冊で合格! AWS認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト テキスト&問題集
初心者が最初に手を付けるのであれば、このテキスト。別のテキストを利用する場合も、このテキストのように「全体を広く浅く解説しているテキスト」を利用することをおすすめします(私はこの順序をミスして時間を無駄にしました…)。まずは10~15時間程度かけて、2周程度読み、サービスの全体像をつかみましょう(2周目は流し読みでOKです)。
AWSは特定のベンダーの試験ですので、AWS特有の用語や技術について理解する必要があります。ですので、
- AWSで何ができるか?
- それぞれの用語がどんなサービスなのか?
- 類似のサービスと何が違うのか?
といった概要を把握することが、知識習得の近道です。
ただし、あくまでも「初心者が最初に全体を理解して効率を上げる」という目的のためのテキストですので、既に業務経験などでAWSの概要を理解している人にとっては、不要となる可能性が高いです。
「この1冊で合格」できるか?
ちなみに「この1冊で合格!」とタイトルについていますが、正直「この一冊」では知識量と問題に対する慣れが不十分といった印象でした。本当にこの1冊だけで試験にチャレンジすると、高確率で不合格になると思いますのでご注意を。
書籍1冊だけで合格を目指すなら、「AWS認定資格試験テキスト」などは、かなり突っ込んだところまで解説していますので、知識量だけなら合格水準に達します(実際に利用しませんでしたが、同僚に見せてもらいました)。
しかし、残念ながら問題演習量に欠けるため「実際の試験ではどう考える必要があるか?」という訓練が不足します。その点については、やはり問題集で補強することをおすすめします。
【ハンズオントレーニング用】これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(初心者向け22時間完全コース)
ある程度の業務経験がある人や、初心者向けのテキストを一読した人が学習するのであればUdemyの「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」をおすすめします(かなり定番です)。
- 動画を見ながらハンズオンでトレーニングできる
- 模擬試験3回分と、各分野に関する問題が演習できる
- 模擬試験1回目と2回目は、各分野の正解率の把握が可能
- AWSのアップデートにあわせて、内容もアップデートされる
- 問題演習量がやや足りない
- 試験範囲全体を把握するには、書籍ほど使い勝手がよくない
- 普段の料金は高い(セールで1,500円以下、できれば1,300円程度の時に購入することをおすすめします)
AWS未経験の人としては、実際のAWSの操作を通して、ハンズオントレーニングができるところはかなりのメリットです。また、AWSのアップデートが小まめに教材に反映されるのもメリット。2020年3月以降の試験改訂後も、利用できる可能性が高いかと思います。
正直、AWSの試験に合格するだけであれば、ハンズオントレーニングは不要です(公式では実務経験1年を想定していますが、選択式なので、知識と解答のコツを掴むことが合格には重要です)。しかし「AWSの技術を習得した」というのであれば、やはり実際に操作する技術は習得しておきたいところだと思います(そうでないなら、あえて利用しなくてもいい教材ですが…)。
付属の模擬試験は、実際の試験の難易度に近い水準です(個人的には、3回目以外は本番より若干難しいくらい)。本番の試験のレベルを体験するには、利用価値が高いといえます。
注意点としては、問題数が足りないというところ。テキストによる概要学習と、この教材のハンズオントレーニング+章末問題だけでは、最後に用意された模擬試験を突破することは困難です(私が初めて挑戦した際は、他の教材も使っていましたが、3回目以外全て不合格でした…)。
AWSの試験は、問題文から最適な選択肢を正確に選び取る能力が求められます。この教材だけでも徹底的に繰り返せば合格水準に達する可能性は高めだと思いますが、確実な合格を狙うのであれば問題集で数をこなし、更なる補強をした方がいいでしょう。
ちなみに、全体を把握する為のテキストとして、この教材を利用することはおすすめしません。教材のメインが動画であるため、書籍程に高速で全体像を把握することは困難ですし、必要な知識の検索能力は書籍に劣ります。どうしてもテキストを購入する費用を節約したい場合は、せめて「Black Belt」を併用するようにしましょう。
【学習のメイン】AWS WEB問題集
真っ当な勉強方法で合格率を高めるのであれば、現時点では一番おすすめの問題集です。
- 問題数が多い
- 本番に近い難易度の問題が多い
- 複数範囲を受験する場合はコスパが良い
- 料金がやや高め
- 説明文がやや不足
- コピペできない
おすすめの理由は「問題数の多さと、本番に近い難易度設定」です。
私が利用した教材の中では、一番本番の試験レベルに近かったと思います。何問かは、選択肢や問題文を若干変えた程度の類似問題も見受けられました(ただし、この問題集のような2択問題は本番では出ません)。
また、問題数も900問程度(2020年1月10日時点)あり、「本番レベルの問題をとにかく大量に解きたい」という人には、最適な問題集と言えます。できれば、3周以上やりこむことをおすすめします。
注意点としては、説明文がやや不足しているところ。間違いの選択肢に対する説明文が無かったり、AWSから関連する文章の引用のみにとどまるものも多く、「なぜ解答が○○で、××の選択肢は不正解なのか?」という点について、初心者にも分かりやすく解説している問題は、どちらかといえば少数です。
また、説明不足だった内容について調べようとしても、コピペができないようになっているため、毎回手入力で調査する必要があります。この点、スマホで学習するにはやや不向きです。通勤・通学での学習がメインの人は、事前に全体の基礎知識を身に着け、検索の手間を減らしてから演習に取り組むようにしましょう。
【高難易度対策】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(5回分325問)
合格優先であればあまりおすすめしませんが、実際の試験で問われる可能性がある「高難易度の問題」に焦点を絞った問題集としてUdemyに「AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集」があります。
おすすめしない理由は「難易度が高くて、実際の試験ではほとんど問われないから」です。試験や受験勉強でよくいわれることですが「難易度の高い問題を解けるようになることより、基礎的な問題を確実に解けるようになること」がAWSでも重要です。実際、私はこの模擬試験を3周取り組みましたが、実際の試験で得点を挙げることには、ほとんど貢献することはありませんでした。
ソリューションアーキテクトには、更に上のプロフェッショナルレベルもありますし、業務で利用するのであれば、アソシエイトレベルを更に超える水準を身に着けたい人も多いかと思います。この模擬試験は、そういった「より上を目指す人」が万全に学習を仕上げる目的で利用するといいでしょう。
ちなみに、5回分の内1回は「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」の模擬試験と被っているため「これだけでOK!」の方を購入している人の場合、実質的に内容は4回分となります。
【参考文献・知識の補強】Black Belt
苦手分野や、知識の足りない分野を補うのであれば、AWSのBlack Belt(ブラックベルト)もおすすめです。
試験に特化しているわけではありませんが、AWSソリューションアーキテクト アソシエイトレベル程度の内容を解説している資料がいくつもありますので、学習の不明点を確認するには適しています。
とくに、AWSでよく問われる以下サービスのPDF資料については、苦手分野だけでも確認して、理解を深めるといいでしょう。
- Amazon EC2
- Auto Scaling
- AWS Elastic Beanstalk
- AWS Lambda Part1
- AWS Lambda Part2
- Amazon Elastic Block Store (EBS)
- Amazon Simple Storage Service (S3)
- AWS Storage Gateway
- Amazon DynamoDB
- Amazon Redshift
- Elastic Load Balancing (ELB)
- AWS Identity and Access Management (IAM) Part1
- AWS Identity and Access Management (IAM) Part2
注意点としては、最初からBlack Beltを無理に読み進めないこと。試験でおさえるべきポイントがわからずに全文を読もうとすると、途中でくじけるか大量の時間を浪費する可能性があります。あくまで参考資料として利用するといいでしょう。
「より知識を深めたい分野について流し読みし、知らない知識を見つけたら補給する」ことを目的として利用することをおすすめします。
Black Belt(正確にはAWS Black Belt OnlineSeminar)とは、AWS公式のAWSに関する様々な内容を紹介するオンラインセミナーです。
セミナーの内容は、YouTubeやPDFなどで確認できるため、日時にかかわらず、過去の資料を確認することもできます。
【より上を目指すなら…】AWS ホワイトペーパー
多くの受験者がおすすめ教材として紹介しているホワイトペーパーですが、試験合格を優先するのであれば、個人的にはあまりおすすめしません。
というのも、同じAWSの公式の教材であるBlack Beltと比較して、ホワイトペーパーは具体的な事例に対処するためのベストプラクティスが中心となっているため、内容がかなり深く狭いです。
そのため、試験の頻出範囲に対する学習には向かず、合格を優先するのであれば、効率的な学習とはなりません。長期的にAWSの学習を進め、技術力を向上させていく目的としては利用価値が高いかと思いますので、目的に応じて利用するか判断すると良いでしょう。
私個人の各教材に対する時間配分
あくまで参考ですが、私個人は以下の時間配分で学習を実施しました。(Black Beltなどは、学習中の調べ物で利用したため、他の教材の学習時間に含まれています)。
正直言って、学習の流れで失敗しています。
友人に「20時間も勉強すれば合格できそう」といわれたのを真に受けたため、全くの素人にもかかわらず、最初から「AWS WEB問題集」を中心に学習してしまったことが最大の敗因です。この順番を変えるだけで、けっこう時間が節約できたと思います。
また、年末年始でテストが実施されていなかった影響もあり、合計の勉強時間がかなり長くなりました。実際には、勉強時間が100時間を超えたあたりで、初見の模擬試験でも合格点を上回るようになりました。
実際の試験の体験や感想などは、以下の記事にまとめてありますので、参考にしていただければ幸いです。