AWSソリューションアーキテクト アソシエイト 合格体験と反省点から考えたおすすめの勉強方法

2月 12, 2020AWS認定

この記事では、主にAWSソリューションアーキテクト アソシエイトの合格経験と反省点から、初心者向けにおすすめの勉強方法を解説します。

AWSソリューションアーキテクト アソシエイト (SAA-C01) が受験できるのは 2020 年7月1日までです。本記事はSAA-C01での内容で執筆していますので、試験の範囲・詳細などは改定前後で大幅に変更される可能性があります。

【事前】AWSソリューションアーキテクト アソシエイト試験の特徴をおさえる

あらゆる試験にいえることですが、まずは試験の特徴をおさえましょう。この記事でも解説しますが、複数の記事を読み比べて傾向分析するといいでしょう。

特徴①:AWS特有の用語の理解が必要

AWSはベンダー試験です。当然ですが、情報処理技術者試験のような、IT業界の一般的な知識ではなく、AWS特有の用語の理解が必要となります。

つまり「AWSの業務経験がない限り、IT業界で何年も業務経験があっても、ある程度の学習時間が必要」となります。

また、AWS特有の用語を多く学習する必要があるため、「それぞれのサービスの内容は何か?」「類似サービスとの違いは何か?」といった特徴を覚える必要があります

特徴②:問題演習だけで簡単には合格できない難易度である

AWSソリューションアーキテクト アソシエイトは、問題演習だけで簡単に合格できる難易度の試験ではありません

例えば、私がメインで利用した「AWS WEB問題集」には900程度の問題が収録されていますが、単にこれを1周解いただけでは、合格は難しいです。

もちろん、何周も問題集をやりこんで、正解率を9割以上にすればかなりの確率で合格できますが、ハッキリ言って問題演習だけでは試験全体の理解が進みにくく、学習効率は下がります

初心者が学習を開始する際は、まずは試験で出題される内容の全体像をおさえるため、試験に特化したテキストなどで学習する方法がおすすめです。

特徴③:「ベストプラクティス」を読み取る能力が求められる

AWSの試験では、問題文で要求されるサービスが、いくつかの選択肢で実現できる場合があります。その選択肢の中で、最適な解決方法を選択することが、受験者に求められます

例えば、OracleDBを利用する場合

  • RDSというリレーショナルデータベースサービスを利用する
  • EC2という仮想マシンを作成するサービスの上に構築する

といったように、複数の方法が考えられます。そして「問題文の要求に最適である選択肢(ベストプラクティス)」を解答する必要がある問題が多いため、問題に回答するためには、以下のような能力が必要となります。

解答に必要とされる能力

  • 各サービスの特徴として、問われやすい要素を把握する
  • 問題文から、要求されている要素を的確に識別する

もちろん「CloudWatchのデフォルトの監視項目は何か?」といったような、単純に知識を問うタイプの問題も出題も想定されますが、それらに的確に回答していくためにも、各サービスの特徴や、類似サービスとの差異などはしっかりおさえる必要があります

また、以下のような出題もあります(類似したものを問題集でよく見かけます)。

あるソリューションアーキテクトが、EC2 インスタンス上で動作する基幹業務アプリケーションを設計しています。このアプリケーションではリレーショナルデータベースが使用され、最大16,000 IOPS のEBS ボリュームが1 個必要です。このアプリケーションのパフォーマンス要件を満たすAmazon EBS ボリュームタイプはどれですか。

A.EBS プロビジョンドIOPS SSD
B.EBS スループット最適化HDD
C.EBS 汎用SSD
D.EBS コールドHDD

答え:A

引用:AWS 認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト(2018 年2 月開始)SAA-C01 サンプル試験

こういった問題の場合、要求される性能から答えを絞り込むことは可能です(2018年12月に汎用SSDの性能も最大16,000IOPSになったため、現状の基準では複数になりますが…)。

一方、実際の試験では、問題文中の「要求される性能・コスト」などの事項を変え、別の選択肢を選ばせるような問題が想定されます。例えば、上記の問題で求められる要件を「最大16,000IOPS」から「高いスループットと低コスト」に変化されれば、スループット最適化HDDに正解が変わるといった具合です。

このように「問題文のどこに着目して、正解を選ぶか?」「この要件のベストプラクティスはなにか?」「どの条件なら別の選択肢がベストプラクティスになるか?」といった点を考えながら問題を演習し、問題文から必要な言葉を的確に広い、正解を導き出せるようにしましょう

とくに「求められるコスト、性能、冗長性」「一時的な需要の対策か?恒久的な対策か?」といった点については、しっかり意識して問題演習に取り組むと効果的です。

【序盤】基礎的なテキストで全体像をおさえる

  • 想定時間:10~20時間程度
  • 目的:AWSの全体像をおさえ、AWSの基礎用語を理解できるようになる

序盤の学習は基礎的なテキストでの全体像の把握です。時間としては10~15時間程度あれば十分だと思います。

初心者がAWSソリューションアーキテクト アソシエイトに挑む場合、最初から問題演習で合格を狙うのは非効率です。過去問演習だけで対応できる一部の国家試験などと違い、類似・既出問題に頼ることはできませんので、問題の丸暗記では対応が難しいからです。

そのため、AWSの用語やサービスの種類・違いをおさえる必要がありますが、そのためにも最初に全体像をおさえる必要があります

注意点は、あくまで全体像をおさえることを優先すること。ですので、あまり分厚いテキストを購入するよりも、全体をザックリ学習できる頻出問題が中心の薄めのテキストをおすすめします

ちなみに私の場合、全体の基礎知識を習得するために、以下のテキストを利用しました(学習順序を誤ったため、中盤以降で取り組むことになってしまいましたが…)。

【中盤】演習を繰り返し、解答のコツを掴む。知識の不明点はテキストなどで再学習。並行して苦手分野を特定。

  • 想定時間:50~70時間程度
  • 目的:知識の幅を広げながら、解答のコツを掴む。また、演習を繰り返す中で自分の苦手分野を明確化する

全体の把握ができたら、あとは問題演習を繰り返します

問題演習では、私は「AWS WEB問題集」を利用しました。料金と問題の量から考えれば、2020年1月10日時点では、一番おすすめの

演習を繰り返しつつ、不明点は序盤で使ったテキストや、必要に応じてネットで検索し、再学習を行い、問われやすい基礎知識を中心に、じっくり知識の幅を広げていきましょう

また、問題演習を繰り返していくと、よく問われるサービスの特徴が見えてくると思います。データベースやストレージサービスの比較や、どの目的ならどのサービスが最適か?とった問われやすい論点について、意識しながら問題演習を繰り返すと効果的です。

また、AWSソリューションアーキテクト アソシエイトは、AWSの膨大なサービスの特徴を覚える必要があり、どうしても苦手なものや、忘れやすいもの、混同しやすいものが出てきます。

何度も解く中で「この問題は間違いやすい」という問題に気づいたら、終盤の復習のために記録を残しておくといいでしょう。

ハンズオントレーニング(実際にAWSを扱える能力)は必要か?

合格だけを目的とするのであれば、AWSのサービスを実際に使う必要はありません。もちろん、実際に利用した経験があれば合格しやすい試験ではありますが、試験対策としては、必ずしも効率が良いわけではありません。

ただし、試験合格だけでなく「AWSの知識を実践的に身に着けたい」という目標があれば、一度はハンズオントレーニングをおすすめします。

ハンズオントレーニングを実施するのであれば、定番の教材である「これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座」がおすすめです。セール時に購入しておくといいでしょう。
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【終盤】苦手分野を徹底的に潰す

  • 想定時間:5~20時間程度
  • 目的:得点を上げやすい分野での点数を伸ばす

終盤は、中盤でまとめておいた「間違いやすい」問題を中心に復習を実施します。

この際、問われる可能性が低い問題はあえて学習しなくてもOKです。例えば以下のようなタイプの問題は出題されやすいため、不明瞭な点があれば優先的に潰していきます。

出題されやすいタイプ

  • EBSボリュームの種類に関する問題
  • EBS、EFS、S3の比較
  • RDS、DynamoDB、ElastiCache、Redshiftなどのデータベースの特徴を問う問題

一方、比較対象のない単純な数値に関する知識問題は、可能であれば復習した方がいいですが、どうしても時間が無ければあえて潰す必要はありません。

また試験の出題率は以下のようになっているため、とくに冗長化やパフォーマンス、セキュリティに関する特徴については、確実におさえておくようにしましょう。

出題分野ごとの出題率

  • 回復性の高いアーキテクチャの設計:35%程度
  • パフォーマンスに優れたアーキテクチャを定義:25%程度
  • セキュアなアプリケーションおよびアーキテクチャを規定:25%程度
  • コスト最適化アーキテクチャを設計:10%程度
  • オペレーショナルエクセレンスを備えたアーキテクチャを定義:6%程度

ちなみに、私が利用した「AWS WEB問題集」で、全体の問題に対して正解率90%程度になっていれば、復習は受験当日に5時間程度とれれば十分です(長文で高難易度の問題などは、実際には出題されにくいレベルなので、いざとなったら捨ててもいいです)。

試験当日について

試験については、CBT方式でいつでも受け付けています。期限の制限がないのであれば、無理に短時間での合格は狙わず、じっくり準備してから挑むといいでしょう。

実際に試験を受けた際の体験や感想については、以下の記事にまとめてありますので、興味がある方は参考にしていただければ幸いです。