【2019年8月実施】詐欺?正常?格安中華microSDカードを検証してみた
先日、スマートフォンが壊れたことを契機に、本体のついでにmicroSDカードも購入することになりました。
今回は、あえて怪しさ溢れる格安microSDカードを購入してみましたので、その結果をまとめてみたいと思います。
結論。格安中華microSDカードの真相は?
- 少なくとも、今回購入したものは詐欺ではなかった
- やはり格安なので、性能はほどほど
- 過去の汚名も、今では返上されている?
- 格安でそこそこのスペックの独自ブランド品も登場。日本企業もうかうかしていられない?
購入したSDカードとその理由
まずは、購入したmicroSDカード。こちらになります。
パッと見ただけでは、全然怪しくないですね(怪しいと気づく人もいるかもですが)。
今回「怪しい」と思った一番の理由は販売元です。
最近ではテレビでも放送されるようになりましたが、Amazonはかなりの怪しい業者がはびこるようになってきています。偽ブランド品を売る業者もありますし、根本的に商品に問題がある場合も…。
レビューもサクラによって無理やり上げてたり(中国製タブレットなど、たまに日本語のおかしなレビューが大量に投稿されていたりします)、逆にライバルの販売業者に対して悪い評価をつけるために商品を購入する業者も出る始末。
そんなわけで「不良品・偽造品をつかまされる可能性も十分あり得る」という認識で私はAmazonを利用しているのですが、今回見つけた販売元は、明らかに怪しい。
jnhショップ。運営会社は
microSDカードの販売元、jnhショップ( とは?
なぜjnhショップ(
怪しいか? というと、Amazonのレビューが発端で気づきました。実はjnhショップには偽装microSDカードを売られたという苦情が頻発していた経緯があります。また「マジコン(ニンテンドーDSでコピーソフトを遊ぶ機器)」を販売していたことで、任天堂やその他複数のソフトメーカーに敗訴していたという過去もあります。
極めつけはこちらの記事。jnhショップのmicroSDカードを購入して、徹底的に偽装であることを検証し、その判別方法を解説しています。
つまり、これらの記事だけ見ると、怪しい会社にしか見えません。
では何でjnhショップのmicroSDを買ったのか?
偽装SDカードといえば、メルカリなどにも出回り話題になりました。カードの見た目ではわらかないよう(場合によってはわかるレベルの粗悪品も…)容量などが偽装され、実際にはほとんどデータが保存できないという無価値なSDカードです。
にもかかわらず、私がjnhショップでmicroSDカードを購入した理由は以下の通り。
- 安いので、詐欺でも損失は少ない
- 証拠を握れば、返品できる可能性が高い
- そもそも詐欺を何年も続けていたら、とっくにAmazonを追放されているのでは?
- なにより、新しいスマホのためにmicroSDカードが必要だった
まあ「安く買えたらラッキーだし、詐欺なら返品すればOK」って感じです。
microSDカード検証のために使ったもの
検証のために利用したものは、以下の通りです。
- SD Card Formatter 5.0.1(SDカードのフォーマットに利用)
- h2testw(SDカードの容量偽装を見破るために利用)
- CrystalDiskMark 6.0.2(SDカードの転送速度を測定するために利用)
どれも偽装SDカードを見破るために利用するには、定番ともいえるソフトです。
microSDカードをPCに接続して検証するため、USB3.0対応のカードリーダーも購入しておきました。
microSDカードが偽装か? 実際に検証する方法
それでは、実際に行った検証方法を解説します。
①外観のチェック
まずは外観のチェックです。偽装microSDカードは、外観が面白いくらいに嘘満載なので、ちょっと楽しみにしていました。
例えば
- 規格がSDXCのはずなのに、SDHCになってる
(32GBを超えるなら、SDXCのはず) - 表記されている速度が違う
(パッケージ記載の速度が、購入したものと別の速度) - バーコードが違う
(検索すると、別の商品が出てくる)
といった具合に、偽装されたmicroSDカードは突っ込みどころ満載のものがあるとか。
そんな内容を楽しみにしていたのですが、実際に到着したmicroSDカードがこちら。
普通です(あ、これ一番つまらないパターン)。
とくに突っ込みどころはなく、速度も規格も購入したものと同一でした。
バーコードも確認してみましたが、購入したものと同一のSDカードです。
とりだしてみても、不自然さはありません。粗悪なコピー品だと、microSDカードの表面がざらついていたり、色合いが不自然だったりということもあるのですが、本体についても問題なさそうです。
ということで、外観はクリアです。とはいえ、単にコピー技術の精度が上がっただけの可能性もありますので、検証を続行しました。
②フォーマットを実施
先ほどのmicroSDカードを、カードリーダーに差し込んでPCに接続。しっかりUSB3.0に対応したポートを利用するのも忘れずに。
フォーマットで利用したソフトは「SD Card Formatter」です。その名の通り、SDカードをフォーマットします。
SDカードが正常であるかを確認することが目的ですので、不良セクタの存在もできる「上書きフォーマット」を選択し、実行。
もしも内容が壊れていて、使えないようなSDカードであれば、この時点でアウトなのだと思いますが…。
正常に終了! 何事もなく終わってしまい、嬉しいような、残念なような。
③容量の偽装をチェック
続いて、容量の偽装が行われていないかをチェックします。利用したのは「H2testw」です。
先のフォーマットの時点で恐らく問題ないことは確認できていると思いますが、念には念を入れてチェックを実施。
もしも異常が見つかれば、完了には至らず赤色の表示になるのですが
こちらも問題なく完了。無事なのは良かったですが、何とも面白みがない結果に。
④転送速度をチェック
いくら正常な領域が十分確保できていても、転送速度が遅ければやはり「偽装microSDカード」といえるでしょう。
念のため、実施前に再度microSDカードをフォーマットし、速度の測定は「CrystalDiskMark」で行いました。結果は下の通り。
3回実施して、この通り。
読み込み速度は、最大100MB/sのところ、3回とも85MB/s前後。8割以上にはなっているので、悪くはない速度といえるでしょう。
書き込みについては、35MB/sと、それほど速くはありませんが「安いmicroSDカードならこんなもの」というレベルは出ています。
つまり、速度の面でも異常は見られないという結果となりました。
ちなみに、実をいうとフォーマットも容量チェックもせず、最初に1回だけ速度のチェックを実施していました。その時の読み書き速度は更に早く、下の図の結果です。
現在のjnhショップ(
今回の検証結果では「少なくとも、私の購入したmicroSDカードには問題がない」ことがわかりました。今はもうスマホに入れて、音楽データの保存用に使っています。
調査をしていて気づきましたが、実はjnhショップの偽装品に関する情報のほとんどは数年前のものが多く、最近の情報ではほとんど目にしません。
一方、今では独自ブランドまで作って、SDカードやmicroSDカードを販売中。評価も上々のようです。
あくまで格安ですので「●●には使えなかった!」「速度が思ったより遅かった!」ということはあるかもしれません。ただ「保障にはこだわらない」「速度はほどほどでOK」という人であれば、十分利用価値はあると思います。
「品質第一」も悪くありませんが、市場のニーズに合わせて、こういった中国企業が立ち回っているところを見ると、日本企業も危ういのではないかと再認識しました。